ウイルスで起こる急性の結膜炎。別名「はやり目」ともいわれ、感染力が強い「流行性角結膜炎」

流行性角結膜炎のイメージ

流行性角結膜炎とは

ウイルス感染で起こる結膜炎です。感染力が強く、短期間で爆発的に流行することから「はやり目」とも呼ばれています。他の結膜炎に比べて、充血や目やにの症状がひどいのが特徴です。

結膜とは、まぶたの裏側の白目部分を覆っている薄い膜のことをいいます。まぶたと眼球を繋いでおり、目の動きを滑らかにする機能があります。結膜はまぶたが開いている間ずっとと外部に晒されているので、感染しやすい部位です。手や指を介して、簡単に感染してしまいます。

流行性角結膜炎の原因

流行性角結膜炎の原因は、アデノウイルスによる感染です。

アデノウイルスは感染力が強いので、結膜の中に入るとほぼ100%の確率で感染します。

●流行性角結膜炎の感染ルート

接触感染がメインです。手や指を介して感染します。

感染した人が自分の目を触ると、手には大量のウイルスが付着します。そして、その手でドアノブやタオルを触ると、触った物にもウイルスがうつります。汚染された場所を他の人が触って無意識に目や口を触ってしまうと、その人まで感染してしまうという仕組みです。集団の中で1人でも感染者が出ると、一気に集団感染します。

お子さんが感染した場合は、幼稚園や保育園は登園禁止になります。学生の場合も出席停止となります。会社でお勤めをしている方も出勤停止となるので、仕事を休まなければなりません。

流行性角結膜炎の症状

アデノウイルスの潜伏期間は1週間から2週間。この期間を終えると、次のような症状があらわれます。

大量の目やに (朝起きたときに、目が開けられないほどこびりつくことがあります)

目が充血する

まぶたの裏側にブツブツができる

耳前のリンパ節に腫れが出る

まぶたの急激な腫れ

羞明(光が異常にまぶしい)などの症状が出ることもある

流行性角結膜炎の予防

流行性角結膜炎は、特に夏に流行します。この時期は、以下の予防をして感染しないように気をつけましょう。

手をしっかりと洗う(石鹸で丁寧に洗い、手に付いたウイルスを落とすことが大切です)

タオルを共有しない(手をふくタオルや身体を拭くタオルを、感染者と共有してはいけません)

お風呂の順番に気を付ける(感染者は1番最後にお風呂に入りましょう。お風呂のお湯を介して感染することがあります)

消毒用のアルコールを使う(アデノウイルスはアルコールで消毒できます。ウイルスに汚染された可能性のある食器やタオルは、アルコールでしっかりと消毒しましょう)

流行性角結膜炎の治療方法

今現在、流行性角結膜炎の原因であるアデノウイルスを撃退する薬はありません。

ほかの細菌に二次感染しないように抗菌薬の点眼を使いながら、自然治癒を待ちます。角膜が濁っているときは、ステロイド薬の点眼が処方されます。

 
監修者:勅使川原 剛|横須賀中央眼科 院長

医学博士 MBA
MD. PhD. MBA. MA (Interpretation & Translation)
略歴
聖路加国際病院外科系レジデント
横浜市立大学医学部附属病院
University of California San Francisco (UCSF)
University of Bath, UK
横浜市立大学医学部 眼科 臨床教授


所属学会
日本眼科学会
日本臨床眼科学会
日本眼科手術学会
日本白内障屈折矯正学会
ARVO (The Association for Rearch in Vision and Ophthalmology)
ESCRS ( European Society of Cataract & Refractive Surgeon)