硝子体混濁

元々透明なはずの硝子体が、何らかの原因によって濁ることを「硝子体 混濁」といいます。
ここではその硝子体混濁の症状から原因、治療法までご紹介いたします。

硝子体の濁りの症状は飛蚊症?

硝子体混濁の主な症状は飛蚊症です。濁りによって光が遮られ、目の前に何かが飛んでいるように見えます。また、見えるものの形や大きさは濁りの大きさや量によって異なり、網膜により近い部位にある濁りほどはっきり見えます。
その他には眼内の出血や炎症が起こります。
飛蚊症

 

硝子体混濁の原因

硝子体混濁になる原因は様々ですが、上記のように飛蚊症が現れたり、眼内出血や炎症が起こる際は目の病気が原因です。

また、加齢により後部硝子体剥離が起こることが原因で硝子体混濁が起こったり、胎児のときの硝子体組織の残りが硝子体混濁につながることもあります。

 

炎症性疾患

硝子体混濁の最も頻度の高い原因です。
炎症性疾患には「真菌性眼内炎(しんきんせいがんないえん)」や「ぶどう膜炎」などの感染症疾患と、「サルコイドーシス」や「ベーチェット病」などの非感染性の疾患があります。
ぶどう膜炎

 

網膜剥離

後部硝子体剥離が起こる際に、硝子体と一緒に網膜も眼の底から剥がれてしまう病気です。網膜には二つの層があり、眼の底から剥がれてしまうと栄養が行き届かず、光に対する感度が下がってしまいます。
その結果目が見えにくくなったり、視界が欠けたりするなどの症状も現れます。
網膜剥離
後部硝子体剥離

 

硝子体混濁の改善・治療方法

硝子体混濁の主な原因の炎症性疾患には、感染症疾患と非感染症疾患で治療方法が異なります。
感染症疾患に当たる「真菌性眼内炎」には抗真菌薬投与、「ぶどう膜炎」には抗ウイルス薬投与といった、混濁の原因疾患の治療が基本です。

しかし非感染性疾患は原因特定が難しく、主な治療方法はステロイドや免疫抑制薬の投与で、点滴から始めて次第に内服に切り替えます。ステロイドには副作用があるので、基本的には入院をして頂き治療します。また、急に治療をやめることはできませんので、徐々に量を少なくしながら半年ほどかけて治療を行います。
治療中に再度炎症を発して治療期間が延びることもありますので、根気よく治療を行うことが重要です。 

一方、濁りが自然に引いていく(吸収される)こともありますが、一度吸収しても再発してしまうことがあり、それを繰り返すと濁りが自然吸収されにくくなります。
それぞれの病気に対する治療が遅れてしまうと、場合によれば失明してしまう可能性もあります。
そのため、原因となった病気を的確に治すことがとても大切です。

中央眼科では硝子体手術を行なっておりますので、まずはお気軽にご相談くださいませ。

※原因によっては他院への紹介をさせていただく場合もございます。

 

監修者 勅使川原 剛|横須賀中央眼科 院長

医学博士 MBA
MD. PhD. MBA. MA (Interpretation & Translation)

略歴

  • 聖路加国際病院外科系レジデント
  • 横浜市立大学医学部附属病院
  • University of California San Francisco (UCSF)
  • University of Bath, UK
  • 横浜市立大学医学部 眼科 臨床教授

所属学会

  • 日本眼科学会
  • 日本臨床眼科学会
  • 日本眼科手術学会
  • 日本白内障屈折矯正学会
  • ARVO (The Association for Rearch in Vision and Ophthalmology)
  • ESCRS ( European Society of Cataract & Refractive Surgeon)